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ミニッツリピーターは「音」で時刻を伝えるシステムを採用した時計
歴史
ミニッツリピーターの発祥そのものに付いての記録は残されてはいないが、英国の公的記録として「ポケットウォッチのリピーター機構」その特許所有権への裁定が、
当時の国王ジェームス2世の名で行われた記録が1687年に残されている。
リピータメカニズムの開発は、教会の鐘の音で時間を知るのと同様にまた、それよりも私的に時刻を「音」で知る発明として進化した。その背景には、
教会の鐘の音で知る時刻が生活の中に根付いた中世の人々と、その生活が在り、音で時刻を知る事が、生活の一部として人々の間に根付いていた
事が考えられる。教会の時計塔が普及する以前、また普及したとしても遠方からでは視覚的に針の位置で「時刻」を読み取る事は困難だが、鐘の音な
らば遠方で聞く事が出来た。聴覚を通して「時刻」を知るこのシステムは、視覚を利用する現代の手法とは違う発展の道筋を辿って来た物と考えられる。
ジャームス2世の裁定により特許を取得したDaniel Quare (会社名)が開発したのが「クォータミニッツリピーターシステム」
クォーター ( 15分単位 )で時刻を識別できるようにした物。
現在時刻を知りたい希望(ポケットウォッチのボタンを一押し)
正時と15分未満、15分過ぎ、30分過ぎ、45分過ぎを2種類の音の組み合わせで表現するシステムでした。15分単位で時刻を表したことからこのシステムを
「クォータミニッツリピーターシステム・4分割式」と呼ばれました。
クォータミニッツリピーターシステムを進化させ開発されたのが「7分30秒 リピーターシステム・8分割式」1時間(60分)を8分割
正時と7分30秒以下、7分30秒過ぎ、15分過ぎ、22分30秒過ぎ、30分過ぎ、37分30秒過ぎ、45分過ぎ、52分30秒過ぎと8等分にして音で知らせました。
更に、7 1/2ミニッツリピーターシステムを進化させたのが 「5ミニッツリピーターシステム・12分割式」
正時と5分未満、5分過ぎ、10分過ぎ、15分過ぎ、20分過ぎ、25分過ぎ、30分過ぎ、35分過ぎ、40分過ぎ、45分過ぎ、50分過ぎ、55分過ぎとして時刻を表しました(2音源)。
さらに細かいミニッツリピーターシステムでは、上記のクォーターミニッツリピーター式にミニッツを加える為、2音源式を3音源システムに複雑化する技術を必要としました。
正時プラス15分の区切りプラス分 を 3音源で表現します。
いかなる場面でも「時刻」を知りたいと願う人々の「欲求」は、時を刻む技術の裏側で「伝える」システム、知るシステムを生み出して行きました。複雑かつ精密な時計制作技術の中に、
「個人の生活」がそれぞれの時刻を必要とし始めた、時代の変化を背景に、時刻を音にして伝える技術として進化し、時間が人々の生活の中に溶け込んで行ったのです。
Text by Makoto Chino.
All rights reserved by Chino watch.
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